Story

Story 01

季節とともに紡がれる、
自然と動物と人のハーモニー。

春の芽吹き、夏の輝き、秋の彩り、
そして冬の静寂。阿寒湖では、季節の移ろいとともに、
自然と動物と人が寄り添いながらひとつの物語を紡いでいます。
訪れるたびに異なる表情を見せるその調和の風景が、
旅人の心に深い余韻を残します。

森と湖の目覚めとまりもの物語

水と森が育む、まりもの詩
― 阿寒湖が育んだ、奇跡の循環

十数万年前、阿寒カルデラが生まれた。
火と水が交わり、森と湖が形を変えながら、
いのちの大地が育まれていった。
外輪山から流れ込む清らかな水、
浅く広がる湖岸、南から吹く風。
この偶然が幾重にも重なり、
やがて奇跡の球体「まりも」が生まれた。
湖底から湧き出す温泉の力、微生物たちの働き、
太陽の光が織りなす光合成のリズム。
それは自然のすべてが響き合う阿寒の呼吸そのものだった。

しかし、この奇跡はやがて危機を迎える。
人の営みと自然の調和が揺らぐ中で、まりもは姿を消しかけた。
その時、阿寒の人々が立ち上がった。
アイヌと和人が手を取り合い、
祈りとともに「まりもまつり」を始め、
守る心と再生の願いをこの湖に託した。
まりも倶楽部を中心に、
地域全体が「リジェネラティブ(再生)」の精神を掲げ、
未来へと続く新たな共生の輪を描いている。
まるく、やさしく、つながっていく。まりものように。
今もなお、阿寒湖はその循環の中で息づき、
森や湖上の体験を通して、
人々に共に生きるという調和のシンフォニーを奏でている。

アイヌ文化と自然への敬意

秋辺デポ
― 森と語る人

阿寒湖のほとりで生まれ育った秋辺デポ氏は、
この地に二千年続くアイヌの思想を、今の言葉で語り継ぐ人だ。
彼の語りには、森のざわめきや、湖の光が息づいている。
祭祀の場でも、焚火の前でも、彼の言葉を聞けば、
自然と人がともに生きてきた時間が、そっと蘇る。
幼いころ、祖母はこう教えたという。
「地面は生き物なんだよ。」
人が汚した水を浄化し、草花を育み、
温泉を湧き出させる。それが地面のいのちだと。
蛇もカエルも虫たちも、みな神のかけら。
いじめることは許されず、
自然のすべてに敬意を払うことを、彼は父から学んだ。

ある日、酒に漬けられたハブを見て、
父はその瓶を山へ持ち出し、丁重に埋め、祝詞を捧げた。
「タンネ・カムイ―それは神様だ」と。
その姿に、秋辺氏は生かすことと敬うことの境界を知ったという。
アイヌの言葉に、こんな教えがある。
「カント オロワ ヤク サクノ アランケプ シネプ カ イサム」
天から役目なく降ろされたものは、何ひとつない。
この地に生きるすべての命には意味があり、
互いに耳を傾け、助け合いながら存在している。
それが、アイヌの人々が語り継いできた共生の知恵。
秋辺氏の語りは、聴く人の心に静かに染みていく。
阿寒湖がただの観光地ではなく、
人と自然と文化が共に息づく聖域であることを、
彼の言葉が思い出させてくれる。

アクティビティとキーマンの存在

松岡尚幸
― 湖と生きる人

阿寒湖温泉に生まれ、この地と共に歩んできた松岡尚幸氏。
湖と人、自然と観光、そのすべてに深く関わりながら生きてきた。
少年のころ、湖畔を渡る風を聞きながら誓った。
「この場所の未来を守りたい」と。
それは、代々受け継がれてきた阿寒の誇りでもあった。
やがて観光が発展する中で、松岡氏は自らに問い続けた。
守るべきものは何か、変えてはいけないものはどこにあるのか。
まりもの保全運動をはじめ、観光と自然保護の両立に挑み続けた日々。
その想いはまちづくりや文化活動へと広がり、
阿寒湖の未来を形づくってきた。
「自然と人との絶妙な関係」。
その言葉どおり、
松岡氏は阿寒湖を遊びの場ではなく生きる場所として見つめてきた。
彼の生き方は、阿寒湖の物語そのもの。
湖を愛し、未来を照らす静かな灯となっている。

秋の森と動物たち

紅葉と動物観察
― 森が語りはじめる秋

秋が深まるころ、阿寒湖の森は静かに色づきはじめる。
カエデが紅に、カラマツが金に染まり、湖面には朝もやが淡く漂う。
風がそっと吹き抜けるたび、枝先の葉が一枚、また一枚と舞い落ちていく。
その静けさの中に、ふと気配が生まれる。
朝霧の向こうから、エゾシカの親子が姿を現す。
子鹿の小さな足音、木々の隙間を抜ける息づかい。
自然がまるで呼吸をしているようだ。
人は決められた道を歩き、静かに見守る。
近づきすぎない。声をかけない。
その距離があるからこそ、動物たちは恐れることなく、
ありのままの姿を見せてくれる。

森の奥からキタキツネが現れ、リスが木の実を運び、
カケスの鳴き声が秋空を渡る。
そのひとつひとつが、阿寒湖の秋を描く筆致のように、美しく重なっていく。
やがて夕暮れ。
燃えるような赤が湖面を照らし、森も空も溶け合う。
人と自然が互いを尊び、そっと寄り添う。
その静謐な時間が、阿寒湖の秋の本当の姿なのだ

守る人、語る人、学ぶ人。
阿寒湖のグリーンシーズンは、自然と人との間にある絶妙な距離感を教えてくれる。

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